他所の青い芝は迷走への甘い罠。
他所の青い芝は迷走への甘い罠。 片田舎の町外れ、人通り少ない路地裏にある小さな部品卸売会社での話です。 縮小する業界に合わせて減少する売上を前に、なんとか売上を稼ごうとホームページリニューアルの企画が立ち上がり、私はホームページに詳しい相談役として会議の末席に加わりました。 先方からリニューアルの重大項目として持ち上がったのが、前述の「ネット注文への対応」です。 しかし、私は反対しました。 ネット注文自体が悪いというのではなく、その会社の現状に「ネット注文」という方法が合致しないからです。
「ネット注文は割に合わない」
元々が独壇場ではネット注文だからといって取引先は増えず、パソコンを使わない取引先にはネット注文自体が不要です。
しかし、結局は「時代の流れ」という経営幹部の意見が通り専用のネット注文システムを開発することが決定しました。 間違ったリニューアルが運良く当たる事は稀で、専用のネット注文システムを開発するための3桁に及ぶ投資は、いつになっても回収できない損出となりました。
「ネット注文が伸びている」と言っても結局は自社以外のお話、他所の芝でしかありません。 実際にその芝が自社の土壌に会うかどうかは時代の流れとは別問題で、他所で青かった芝も自社の土壌に合わなければ枯れてしまいます。
この事例では”売上を上げる”という目標はあったものの、「どうやって売上を上げるのか?」という大切な部分がスッポリ抜け落ちていました。 新規の取引先を増やすのか? 仮に新規の取引先を開拓するのならば、どういった行動が必要か? 自社の現状を踏まえ目標に到達するための道筋を一つ一つ確認する。
もう一つの失敗要因とはこの戦略を立てなかったことです。 とこか他所で仕入れたネタありきの会議では、いくら議論しても勝てる戦略は出てきません。
「○○をやりたいんだけど、浅海さんどう思います?」 例えば、 例のお客さんの目標は売上の増加で、検索の順位を上げれば儲かるとどこかで聞いたと言います
— というような状態でした。 この場合、検索順位を更に上げる対策よりも、ホームページ内容の改善が優先すべき対策です。すでに80点の社会を90点にするよりもまだ10点の理科を50点にする方がカンタンでしかも合計点が高くなるのと同じ理屈です。 もし、この方が相談しないまま、現状をきちんと把握せず、目標への戦略を考えなかったのならば、苦労する割りに成果が上がらない検索エンジン上位対策に多くの時間を費やすことになっていたでしょう。 現状を把握し、目標へ辿り着くための戦略を考えれば、飛躍的に成功へ近づけます。
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